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株式会社 一新 ISHIN CO.,LTD.

物流拠点:滋賀県彦根市・大津市・京都市・三重県津市  人材サービス   飲食サービス

<巨大物流倉庫>関西の工場跡地に最新式「増殖中」

関西の工場跡地に巨大な物流倉庫が続々と建設されている。長く続いた円高で工場が海外移転した一方、ネット通販などの商品配達の増加が背景にある。最新式の倉庫は1日10万を超す商品の仕分け・梱包(こんぽう)が可能で、即日配達のカギを握る。海外から投資資金が流入する一方で、働く場所が工場から倉庫に変わり「社会の仕組みにも影響を与える」との指摘もある物流倉庫。現場から報告する。




 「注文して、その日のうちに届くのはすごいこと。仕分けは大変だけどやりがいもある」。大阪市西成区にある2万平方メートル超の巨大物流倉庫で働く大和ハウス工業子会社のパート従業員、山本巨子さん(32)は、手元の電子端末をたよりに、自転車用品や靴底などを仕分けしながら、笑顔を見せた。

 倉庫は、大和ハウスが太平洋セメントの工場跡地を買収し、昨年6月に完成した。主に日用品大手のロイヤルホームセンターとタカラトミーの仕分け作業を行い、約100人が働く。山本さんが担当するのはロイヤルホーム。毎日、15万点もの商品が入荷する。細かい商品は手作業で仕分けるが、7割は自動化されており、その日のうちにトラックで名古屋市から広島市にある25店舗に配送される。

 大和ハウスは物流倉庫建設の最大手で、大阪、兵庫の湾岸部だけで最近5年間に20棟の巨大物流倉庫を建設した。他社も含めると、大規模なものだけで年30棟程度が大阪湾岸地域に建設されているという。不動産調査会社、一五不動産情報サービスによると、大阪圏での大型物流施設の賃貸可能面積は年々増えているが、需要の伸びも大きく、2014年4月には空室率が0.3%まで低下した。

 物流倉庫に投資資金の流入も加速している。パナソニックは今年3月、プラズマパネルの尼崎第3工場(兵庫県尼崎市)を不動産投資顧問会社、センターポイント・ディベロップメント(CPD)に売却した。CPDは物流倉庫に転用する計画で、吉川恒太郎取締役は「テナントを決め、賃貸料のかさ上げを図る。倉庫建設後は、(投資家から資金を集めて収益を配当する)不動産リートに売却する」と話す。「超低金利の時代でも、年7~8%の利回りを得ることができる」といい、興味深いのは「中東や欧米の年金など海外の投資資金も入ってきている」点だ。

 自治体も波及効果に期待している。大阪府茨木市には来年、18万平方メートルの物流倉庫が着工予定だが、市都市政策課は「固定資産税が増えるし、工場ほどではないが、雇用も生み出してくれる。ホコリまみれで汗臭いというかつての倉庫と違い、女性も働きやすい」と強調する。

 ただ、今後のリスクも指摘されている。物流倉庫とトラック輸送は不可分だが、政府は15年にトラック運転手が14万人不足すると予想。雇用も工場ほどは生み出せないこともあり、「数年で行き詰まりかねない」との懸念の声もある。
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