「山崎製パン」が自社トラックを持っているのはなぜか① ニューストピックス 2014年2月は観測史上まれに見る大雪に2度も見舞われた大変な月になってしまいました。首都圏の交通網はマヒし、週末はじっと家に居るしかなかったり、雪かきに追われたり、といった人も多かったのでは。 また、何らかの事情で外出せざるを得なかった人は、帰宅するのに非常に苦労したり、中にはやむを得ず近隣のホテルで宿泊した人もいたでしょう。 そんな中、注目を浴びた企業が「山崎製パン」。高速道路で立ち往生していた人に対して、トラックの荷台に積んでいたパンを振る舞っていたことが美談として取り上げられました。 山崎製パンと言えば「ランチパック」のような定番商品をはじめとした製パン業や、コンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」の運営などで知られている会社です。山崎製パンは12月31日が決算日で、2014年は2月19日に決算説明会が開催されました。 同社ドライバーの機転に敬意を表しつつ、山崎製パンの業績を分析してみたいと思います。●売上は右肩上がりだが 山崎製パンの主軸は「食品事業」。単純にその売上高の推移を見てみると、興味深いのが、その成長の「堅さ」。2004年度からずーっと、売上高が増え続けているのです。リーマンショックがあった2008年ごろや、東日本大震災があった2011年は、どこの企業も多少なり業績に影響が出ているのですが、山崎製パンにはそれがないのです。 もちろん、「食」という必需品を扱っている企業ですから大幅な業績のブレが生じにくいのも事実です。しかし、マクロ指標を見れば、2005年ごろから日本の人口が減少に転じています。すなわち、“胃袋”は減っているにもかかわらず、山崎製パンはその成長を止めることなく拡大を続けているのです。 その一方で、営業利益(売上から売上原価、販売費などを差し引いたもの)は横ばい。つまり、売上が増えても、その分だけ増えてしまっている費用があるために、利益が増加していないのです。 その主な原因は「運搬費」。そう、今回ヒーローとなったトラックにかかっている費用です。私たちの心を温かくしてくれたトラックですが、もしかしたら山崎製パンにとっては重いコスト要因になってしまっているのかもしれません。 昨今のエネルギーコストの高騰や、インターネットショッピングの普及などに伴い、運搬費は企業の収益性を左右する重要なファクターになってきています。運搬費を合理的に低く抑え、なおかつスピーディーな物流を実現するために、外部の輸送業者を積極的に活用する動きも盛んになってきました。 PR