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株式会社 一新 ISHIN CO.,LTD.

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<春の引っ越し>断る業者続出 「人も車も足りない」

年度末の引っ越し繁忙期を控え、運送業者が受注を断るケースが北海道で相次いでいる。景気回復を背景に大手企業を中心に人事異動が増え、さらに消費増税に伴う駆け込み需要で取り扱い貨物の量が増加しているが、業界は慢性的な人手不足で対応できないからだ。景気循環の一翼を担う物流業界が、安倍政権の経済政策「アベノミクス」効果による景気浮揚に悲鳴を上げている。





 4月に札幌市から旭川市方面への異動が決まった高校教諭の男性(29)は内示が出た今月中旬、引っ越し業者200社以上が登録するインターネットの一括見積もりサイトに登録。だが、回答があったのは5社のみで「新学期の準備を考えて4月1日に入居したい」と希望日を伝えると、いずれも「予約が取れない」と断られた。

 知人の紹介で個人経営の運送会社の軽トラック1台を押さえたが、荷物を積みきれず、レンタカーを借りて自力で運ぶことにした。教諭は「同僚も苦労している。見積金額も例年の2倍。職員室で『今年は異常だ』と話している」という。

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 業界大手のヤマトホームコンビニエンス(東京都)では、法人契約の単身引っ越しが前年比1割増で「景気回復による企業の人事異動が増えた」とみる。法人が先に契約して業者を押さえるため、個人があおりを受けるといい、3月20日~4月2日の最繁忙期は「トラックや貨物コンテナの輸送に限度があり、全国的に引き受けにくい状況」という。

 道内と本州間の引っ越し荷物の大多数を運ぶJR貨物も、消費増税前の駆け込み需要や円安の影響で食品や日用雑貨、紙パルプ製品の荷動きが活発化。道内発着の2月の輸送実績は前年比6~8%増で、引っ越し荷物が加わる今月24日以降は青函トンネルを通る1日40本の貨物列車が満載となる見通しだ。JR貨物北海道支社は「納期に余裕がある荷物の輸送を遅らせて引っ越しに対応するしかない」としている。

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 「需要はあるのに人も車も足りない」。札幌市白石区の「中村運送」の中村宏充社長(56)は、トラックが出払った自社の駐車場を眺めながら道内特有の事情を嘆く。

 同社は昨年以降、北海道新幹線や道内で相次いだ大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の建設に伴う資材搬送で、トラックの高稼働が続く。一方で、長年の燃油高騰が経営を圧迫。「増車の決断はできない」という。

 そこに人手不足がのしかかる。同社は年間引っ越しの4割が集中する3月下旬~4月上旬に農閑期の人たちを雇ってきた。だが昨年からは「(東日本大震災の)被災地で仕事をしているから無理」と断られるケースが増えた。求人雑誌に掲載しても反応は鈍く、今年は例年より3割少ない作業員で臨む。

 札幌地区トラック協会の松橋謙一・引越部会長は「通常の物流が約1割増え、その分、引っ越しの輸送能力が落ちている」とし「普段は引っ越しを手がけていない業者が請け負い、トラブルが起こらないか心配だ」と懸念する。
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