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株式会社 一新 ISHIN CO.,LTD.

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日本文化ピンチ、消えゆく銭湯、苦しむ納豆 ①

6月17日(ブルームバーグ):異次元の金融緩和による円高修正で大企業の業績を押し上げているアベノミクス。しかし、影の部分も否定できない。民間の中小・零細業者からは輸入原料の物価上昇に悲鳴が上がっている。
都内文京区の閑静な住宅街で昔ながらの銭湯を経営する中谷九十九さん。1954年に創業した父親から古いながらも昭和時代の面影を残す趣のある風呂屋を引き継いできたが、今月末で廃業することを決めている。利用者の減少に加えて、追い打ちをかけたのが燃料費の高騰だ。

「お湯を沸かさなければならず燃料をいかに安くするかだが、下がることはない。昔はへっちゃらだったが、結局は燃料費」と打ち明ける。ボイラーで使用する重油代だけで月45万円程度と収入の半分近くの負担に。これに電気代や水道費が重なり「経営していける状態ではない」と60年の伝統を誇る釜の火を落とす決断を迫られた。

銭湯業界では原油が高騰した2008年以降、燃料を重油から価格変動の小さいガスへと設備を変えたところも多い。都も補助金制度で支援している。全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会によると、都内約730件の銭湯のうち6割近くが都市ガスを利用するが、残りは廃油やまき、重油を使用している。

国内の銭湯の数はピーク時の1980年には約1万5700軒あったが、現在は約5200軒と3分の1にまで減少。組合事務局の渡辺悟秀氏は「ただでさえ厳しい経営環境に置かれているが、燃料費の高騰で今後もっと厳しくなる」。日本の伝統文化がまた一つ消えていく事態を招いている。

値上げの通知ばかり

5月末。神奈川県川崎市で納豆製造会社を経営する松下商店の松下幹雄代表取締役は容器に使用する包装フィルムの値上げ要請を受けた。紙パックや包装フィルムの原料は石油製品。円安による価格上昇が背景だ。コストが上昇すれば「自分の給料を減らすしかない」との状況に追い込まれている。大豆を釜で煮るのに軽油や灯油も使う。大豆価格の高値が続く中、為替と原油価格の動向からも目が離せない毎日が続く。

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