<コンテナ輸送>トラックと海上輸送の懸け橋 被災地支える一助も ニューストピックス トラック輸送に押されていた鉄道貨物が、東日本大震災以降、存在感をみせている。 震災直後は使用不能となった港湾や道路網が復旧するまでの間、使用可能な線路を使った鉄道輸送が大きな役割を果たした。現在もがれき輸送のほか、生産活動に必要な物資を海上コンテナ輸送などで被災地をはじめ全国と海外を結んで物流を支えている。 JR貨物によると、台風やJR北海道で起きた脱線事故による運休などの影響を受けながらも、2013年度上半期のコンテナ輸送は前年同期比で17万トン増の1018万トンと1.7%増えている。 海上コンテナの輸送などを手がけるJR貨物の子会社JR貨物・インターナショナルによると、輸送が伸びている背景には、鉄道がトラックや船を使った輸送の弱点を補完する利点をもつことにあるという。トラック輸送は早くて小回りが利く一方、トラック1台あたりで運べる量は限られていることや車両の数が増えれば渋滞を招くなど大量輸送は難しい。船を使った海上輸送は安価で大量に運べる半面、時間がかかることや港から港へ運ぶことしかできず、内陸には運べない。鉄道の場合は1編成(26両)で最大650トンを運べるほか、船よりも高速で全国各地へ運ぶことが可能で、海外から入港したコンテナ船から海上コンテナのまま運ぶニーズは強いという。 平日の午前10時すぎ、東京貨物ターミナル駅(東京都品川区)には前夜の午後8時すぎに盛岡貨物ターミナル駅を出発した貨物列車が到着する。JRコンテナと呼ばれる12フィートの小型コンテナに交じって20フィートや40フィートの海上コンテナもある。機関車に押されて列車がホームのない駅に入線すると、さっそくフォークリフトが慌ただしく荷役作業を始める。盛岡からは震災から復旧した工場からの紙・パルプなどのほか、がれきも専用コンテナで運ばれている。折り返しの列車には、海外からの衣料品のほか、牧草も運んでいるという。東京貨物ターミナル駅は東京港の大井ふ頭に隣接しているほか、横浜港など大きな港に近いことから海上コンテナ輸送に好都合だという。 国内で使われてきたコンテナは、山間部の狭い道路などでも扱いやすい12フィートコンテナが主流を占めてきた。一方で、20フィートなどの海上コンテナによる輸送は小型コンテナへの積み替えが不要で効率化が図れるためスピードとコストの面で有利なことから、国鉄時代の1968年に品川-横浜で20フィートコンテナを運んで以来、少しずつ広がってきたが、通ることができるトンネルや貨物駅が持つ設備の能力の関係で、扱える駅や路線には限りがあるという。また、コンテナは海運業者の所有となっていることが多いため、コンテナを港へ回送する必要があり効率が悪いといった課題もあるが、JR貨物では自社で中間サイズの31フィートのコンテナを12年度から導入するなど、新たな動きもある。JR貨物・インターナショナルでは「荷主へ戻す海上コンテナにも荷物を積むなどの工夫もしている。鉄道輸送と海上コンテナを組み合わせることで、物流の活性化につなげていきたい」と話している。【米田堅持】 PR