最低賃金2%超上げへ ニューストピックス 政府は8日、労働者の最低賃金について、今年10月ごろに予定している平成25年度改定に合わせて引き上げる方針を固めた。安倍晋三政権が2%の物価上昇を目標に掲げていることを踏まえ、経済回復基調が幅広く国民に行き渡るよう2%を超える引き上げ案が浮上している。また、安倍首相は秋に政府、経済界、労働組合らの代表者による政労使会議を開き、経済界に対し26年度の定期昇給の増額を求める考えだ。 現在の時給で示す最低賃金は全国平均で749円。2%超だと、平均15円超の引き上げになる。デフレ脱却を最重要課題に掲げる安倍政権は、賃金の引き上げ幅を物価上昇目標を上回る数字にすることで消費の拡大を図りたいところだ。首相が今年2月、経済3団体トップとの会談で賃金引き上げへの協力を要請、主要企業は夏のボーナスの引き上げで対応した。 政府は、24年度補正予算や25年度当初予算の景気浮揚効果が地方でも出つつあることから、全国レベルでの賃金の引き上げは可能とみている。6月に閣議決定した成長戦略では「すべての所得層での賃金上昇と企業収益向上の好循環を実現できるよう最低賃金の引き上げに努める」と明記。自民党の参院選公約でも賃金増を盛り込んでいる。 政府高官は「賃金や家計所得が増加しなければ消費の拡大は続かない。アベノミクスの成否に関わる重要な問題だ」と指摘する。賃金の引き上げに向けて、政府は企業の内部留保が投資や賃金に回るよう誘導策も導入する方針だ。一方、経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な中小企業からは2%の賃金引き上げにも激しい抵抗が予想されるため、中小企業の経営を過度に圧迫しない対応も慎重に検討していく。 PR